売り手市場、オンライン化など就活生を取り巻く環境は良くなっているかのような単語が出回っているが、
一度失敗してしまうとレールから外れ続けてしまう現代の日本では、相変わらず就活は絶対に失敗できない高リスクな試練となっている。
本記事では「大コケしない」をテーマに、地に足をつけて最低限の就職先を確保しつつ可能な限り良い環境へ手を伸ばす術について
作者の実体験をもとに超具体的に解説する。
当然、学生の不安を煽って就活エージェント企業の申し込みサイトへ誘導するようなことは他記事を含めて一切ないので
有益と思う部分だけ見ていって欲しい。(急ぐ人はこちらへ →大コケしない具体的方法 のページまで跳ぶ)
目次
コロナ後の就活は「超早期内々定獲得&保持続行」
止まらない早期化
コロナ前から企業による採用活動の早期化は顕著だったが、売り手市場の継続とオンライン化によって拍車がかかっている。
形式上は3月解禁となっているが、2月末時点で回答者の約3割強が「すでに内々定を持っている」を選択したアンケート例もある。
このデータは、「就活サービスをすでに利用している、かつアンケートに回答した学生」が母数となっているため学生全体に対する割合よりも若干高い数値になっているはずだが
それでも年々増加しており、早期化の流れは加速していると言える。
内々定保持と就活続行の一般化
一昔前には「オワハラ」のような言葉が流行ったように、内々定を出した企業側が学生へ以後の就活をしないよう圧力をかけることが議論を呼んだ。
企業側からしたら内定辞退というのは、採用担当や面接を行なった役員の工数が無駄になってしまうため避けたいものであることは理解できる。
しかし、辞退されるのを防ぐために学生に圧力をかけるのは学生からの信頼を失う行為であり、逆効果になる場合も多く存在するはずである。
このような状況で就活生側で広がった行動が「内々定を保持しつつ就活を続ける」「内定承諾はするが就活はやめない」というものである。
これは一見するとグレーゾーンのように見えるかもしれないが、双方の合意形成を就職・採用活動のゴールとすると
ゴール前で相手の振る舞いへ文句をつけることは無粋とも言える。
企業側に「内定取消し」というカードがある限り、就活生側の「内定辞退」というカードは当然使う権利がある。
「あさがくナビ」利用学生のアンケート調査では、2月末時点の内々定率は30.8% -中略-「内定を獲得し就活を終了」したは5.3%だけ
就活解禁! 「コロナ禍世代の強み」とこれからやるべきこと【イチ押しニュース】/あさがくナビ
良い就活成果とはなにか
最低限の就職先からの内定が取れないとどうなるのか
筆者の経験
4年次の9月に行った説明会でめまいがした話
・学部での就活がうまくいかず大学院の入試を受けた
・院の入試に落ちたらもちろん就活再開、9月末からの就活は世界が別物になっていた
・行きたい企業が見つからず、マイページ登録をしたのに募集終了されている企業に大量に引っかかる
・秋採用への望みをつなぐこともできるが、春までの就活とは書類選考の難易度が桁違いに上がっていた。
【メイン】就活で大コケしない方法③ステップ
① 最低限の就職先を確保する
まずは最初のステップ「最低ラインの確保」のための活動だ。
正直ここがしっかりできれば以降全て失敗しても大丈夫なので、ここまでだけでもついてきて欲しい。
ここで言う最低ラインとは、「少なくとも3年間は学ぶことが絶えなさそうな企業の内定を獲得する」ことだ。
就職先に求める要素はたくさん挙げるとキリがないが、多くの人が上位3項目を 年収/安定性/スキル習得環境 としているのではないだろうか。(※社会貢献は年収に含み、やりがい・業界・職種はスキル習得環境に含む)
この中で1社目に絶対に欲しい要素は スキル習得環境 と筆者は考える。
なぜなら、社会で評価され対価を得られる(お金に変えられる)ようなスキルを一人で習得することは凡人には難しいが、
会社員として実務の中で経験習得できる場合、学科試験だけで取れる資格等よりも収入と安定性をもたらしてくれる。
では、就職先のスキル習得環境はどのようにして評価・判断すれば良いのだろうか。
筆者は、その企業のメイン顧客層と提供価値の変化方向 を見ることで評価できると考えている。
ここで注意すべきは、業界や業種を第一に設定しないことである。
例えば、令和以降も盛り上がりを見せるAI業界やロボット業界への就職を第一にした場合
多くの人が SIerやテック企業への就職を目指すだろう。しかしそこには最低限を下回る可能性が必要以上に存在する。
つまりろくにスキルも身につかないうちに学ぶことがなくなる可能性だ。
この理由に関しては長くなってしまうので詳細は別記事とするが、
結論 ・客層が企業ではなく一般消費者
・その場で大部分が完結するような短期的価値提供
という2点の特徴がある企業の場合、新卒で入社するのはリスクが大きいと考える。たとえ流行りのAIや「スマート〇〇」と謳う業界であってもだ。
もちろん明確にやりたいことがあり、その手段としてこれらの特徴をもつ企業が上がるのならば問題はない。
しかし、本記事は「大コケしない」と題にあるように、みんなが羨む有名企業へ滑りこむよりも納得のいく結果を確保しつつ、心を病まない範囲で最大限欲を出す手法を紹介している。
そのためここまで読み進めてある程度気になる部分があった人は、以降紹介するステップについて検討してみて欲しい。
具体的手法はそれぞれ関連記事でまとめているので、大筋をこの記事でチェックしたら必要なページだけ追加で見ていって欲しい。
ステップ①は最低限の就職先を確保する だ。
② 地に足をつけて高くを望む
最低限の就職先を確保できたら、次は手を伸ばす活動に移る。
ここで大切なのは、「①で確保した内定先との関連性をもった企業とする」ことだ。
手を伸ばすといっても、ネームバリュー順に受けるなどはおすすめしない。
一貫性がなければ仮に受かったとしてもその後の判断に迷いが生じるし、そもそも一貫性の薄い人材と判断されると堅実な企業から内定をとることは難しい。
以下は①で確保した内定先との関連性をもった企業へ手を伸ばす手法だ。
- ①の業界について調べ、利益の出し方と業界構成を改めて理解する。
- 「①と競合する企業リスト」「①と取引をする企業リスト」を作成する。おそらく企業名ではなくどちらも業界までは調べがつくはずなので、その中で規模や特化分野、地域性をもとに企業名で自分内ランキングをつける。
- あとは順にエントリーをしていく。締め切りを意識してランキングを変更する必要は筆者はないと考える。あくまでどれも高望みの段階なので淡々とこなしていくことをお勧めする。
終了判断は「腑に落ちたかどうか」
終了時点の判断は題の通り「腑に落ちたか」だ。
これは手を伸ばす活動中に訪れることになる。
②で作成したリストの企業を受けていくと2パターンの心情となる。
①で内定を取れた企業の良さが改めてわかった気がする。
or
高望みの企業に受かった。以降のリストの企業に受かっても入社しない気がする。
こうなれば終了だ。①の際にじっくりと考えてリスト作成ができていれば、
実は多くの人が①で内定をとった企業の良い部分をこのタイミングで再認識するはずだ。
なぜなら就職先に求める複数の条件をクリアしている企業というのは実際多くは存在しないからだ。
業績は良くても商材に偏りがあったり、給与形態が魅力的でも勤務地に不安があったりと一長一短を感じ続けることが多い。
そこで改めて①の企業を見た時、下振れの小ささを再確認できるはずだ。
もちろん②で上位互換と感じる企業への道が手に入ればそれでいい。
大切なのは①でも②でも「腑に落ちた」という実感があることだ。
これは大学卒業まではもちろん、入社後にも余計なことを考えなくて済む点でも非常に意味がある(筆者は大きく実感じた)。
(終了後)辞退の連絡は丁寧にメールで
終了判断ができれば、あとは選考途中の企業へ辞退の連絡を行う。
ここで「2度と関わらない人達だし」などと考えて省エネな対応をするのは意外とリスクが大きい。
入社後に取引先などで出会うなんてエピソードはネットに多く転がっているが、これは結構馬鹿にできない。
よくあることとは言わないが、発生したら即死なイベントは発生させないに限る。
メール、電話、訪問と連絡手段はいくつもあるが基本的にはメール一択だ。
時間を共有しての連絡の方が丁寧な印象もあるが、リアルタイムでの発言判断は余程の経験がない限り墓穴を掘ってしまう。
そんなリスクを負うよりは、きっちり精査した文章のメールで連絡したほうが自分のためでもあるし、採用担当者の負荷にもならずに済む。
メールの内容は、ある程度テンプレで良いが1、2個個別の感謝事項があると尚良い。
あくまで無難をベースに1つの+αに留めることをおすすめする。
入社後も続く「良い環境探し」
「1社目は視野を広げて狙いを定める場」
ここまでで「大コケしない就活」は以上となる。
入社までなにかしなければと焦る気持ちもわかるが、筆者は旅行や遊びをおすすめする。
スタートダッシュは入社後がコスパが良いし間違いがない。
・研修レポートは他部署の偉い人も見ることが多い
・実務で関わるまではレポートの印象が続く
まとめ
本記事では「大コケしない」をテーマにドライながらも堅実な就活ステップを紹介した。
就活方法は無限にあるし、就職しなくても別に生きてもいける。だがせっかく日本に生まれて大学まで行ったのなら必要以上のリスクは負わないという選択も大いに結構だと思う。
実際運の良さで全てがひっくり返る世界だが、不運の少ない道を選ぶことはできるし、
その道を歩きながら必要なタイミングでリスクをとる選択もできる。
日本での就活行動は長い人生の中でもトップクラスに努力のコスパがいい。
病まない程度に本気を出す価値は2024時点でも十分あるので、本記事とリンク記事を参考にしてみて欲しい。
筆者は学生時代にクソみたいな大人に騙されたり、要領が悪く勝手に損することが多かった。
この記事を通して一人にでもなにか影響を与えることができれば、そんな経験も報われるのではと密かに期待している。